前々から門内薬局について議論はされていたが、ついに厚労省が見直し案を決定し門内薬局を限定容認した。
厚生労働省は、病院と薬局を同じ建物や敷地内に併設することを認めていない「医薬分業」規制の見直し案を決めた。病院と薬局の間をフェンスで仕切り、公道にいったん出なければならないといった一律の構造規制を緩和し、薬局の経営の独立性確保を前提に、病院の敷地内の「門内薬局」を限定的に認める。
見直し案は1月29日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で了承。厚労省は4月以降、構造規制を定めた省令の運用ルールを見直すよう、全国の地方厚生局などに通知を出す方針だ。実施にあたっては一定の周知期間も設ける。
厚労省は薬の過剰投与といった薬漬けを防ぐ目的で、病院内の窓口で薬を受け取る「院内処方」より、医師の処方箋を受けて病院外の薬局の薬剤師が調剤する「院外処方」を推進している。
こうした「医薬分業」を担保するため、院外処方の場合には、病院と薬局の経営を独立させるとともに、それぞれの設置場所を公道やフェンスで隔てるよう定めている。
ただ、病院で処方箋を受け取り、薬をもらうのに公道を挟んだりした薬局まで行くのは不便で、高齢者や体の不自由な人の負担が大きい。これらの指摘を受け、政府は昨年6月、規制改革実施計画に「医薬分業」規制の見直しを盛り込んでいた。
見直し案では、省令で禁止されている病院と薬局の「一体的な構造」の解釈を緩やかにし、病院・薬局間の公道やフェンスは不要とし、同じ敷地内の併設を認める。
一方、薬局が(1)病院の建物内で営業(2)病院からの専用通路でしか行けない(3)病院の敷地の奥にあり、公道から存在や出入り口が分からない(4)病院の休診日に公道から行き来できない-などのケースは引き続き認めない考えだ。
また、病院の敷地に薬局を設置すると、病院が「大家と店子(たなこ)」の関係で薬局の経営に介入してくる可能性もあることから、薬局に不動産賃貸関係の文書など経営上の独立性を証明する書類の提出を求める。
厚労省は平成28年度の診療報酬改定で、大病院周辺の「門前薬局」を念頭に、特定の病院の処方箋ばかりを扱う薬局の調剤報酬を減額する方針だが、今回認められる「門内薬局」も同様の取り扱いとし、併設する病院以外の患者も積極的に対応するよう促していく。
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